- 口腔成育って?
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近年、虫歯の予防や治療をはじめとした、総合的な健康づくりを支援する「口腔成育」という概念が着目されてきています。口腔成育とは、「口」を通じて、子どもたちのこころと体の健康づくりをし、育児・子育て・自立支援をすることです。口は、栄養を摂る入口としてだけでなく、言葉や表情といったコミュニケーションの出口という、人が生きていく上で大切な役割を担っています。また、乳児期では、授乳と抱擁により満腹感と幸福感を繰り返し体験することから「気持ちの良いこころ」が育ちます。子どもたちのこころと体が健やかに成長できるように、皆様の子育てをお手伝い出来れば大変嬉しいです。
現代は予防医学が発達し、生活習慣病の側面を持つむし歯・歯周病は「治すもの」から「防ぐもの」と認識が変わってきています。健康生活を創るのはあくまで個々のご家庭や生活者です。口腔成育では、一生を通じてより良いQOL(生活の質)を目指す医療として、健康観を共有しながら個々の生活環境やライフスタイルに沿った専門的支援をします。それは、むし歯や歯周病の予防(予防歯科のページへ)や治療はもちろんのこと、食育、口の使い方やくせに対するトレーニング、顎の成長や歯の生えかわりへの対応(矯正歯科のページへ)など、多岐に渡ります。
しかし最も大切なのは、継続的にケアをして、適切なタイミングで治療を最小限にすることなのです。少しでも多くの子どもたちが、「20歳までにむし歯も歯周病もなく正常なかみ合わせと働きをもつお口」が持てるように支援することが私の夢です。 - 妊娠中のお母さんへ
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●妊娠中は、ホルモンバランスの変化、つわりや妊娠によるストレスなどからくる精神不安定状態、また食の嗜好や食習慣の変化などが、虫歯や歯周病の間接的な要因となりますので、日頃からお口の健康管理を維持しておくことが大切です。
●歯周病は、早産のリスクや低体重児出産との関連が報告されています。妊娠が安定している時期を選んで、治療やケアを受けましょう。
●妊娠中の歯科治療は、時期や母体の状態を見極めて、適切な対応をする必要があります。特に、エックス線写真や麻酔、薬剤投与、治療によるストレスなど、胎児や母体に影響を及ぼす可能性のある要因を考慮し、すぐに治療を行うべきなのか、それとも予防処置やケアを継続して出産後に落ち着いてから治療するのかを判断しますので、虫歯や歯周病の疑いがある場合は、早めにご来院ください。 - 赤ちゃんのために周りの大人ができることがあります
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虫歯の原因のひとつである「虫歯菌」。この虫歯菌は、赤ちゃんが1才7カ月から2才7カ月にかけて特に集中して感染していることが知られていますが、一方で歯が生える前から感染するという報告もあります。では、どこから来るのか?それは、周囲の大人から移ってくるのです。ですから、お母さんをはじめとした、周囲の人たちのお口の中を清潔にしておくことが、赤ちゃんの虫歯予防に大変重要なのです。
赤ちゃんが虫歯菌に感染するリスクを下げるには、周りの大人からの食べ物の口移しや同じ食器の使用をできるだけ避けることも有効かとは思いますが、あまり神経質になりすぎるのも考えものです。育児にはお母さんや周囲の大人たちとの温かいコミュニケーションも大変重要です。みんなが待ち望んだかわいい赤ちゃんですから、安心してスキンシップをするためにも、普段から周囲の大人たちのお口の中を清潔にしていてください。 - 歯みがきについて
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●歯が一本でも生え始めたら歯を磨きましょう!お口を触られることが苦手な赤ちゃんもいるかもしれませんが、無理のない範囲で歯みがきをしてください。また、歯が生える前からお口の中をチェックして、触られることに徐々に慣らすことも大切です。
●ブラッシングは毎食後におこなうことが理想ですが、それはかなり大変かと思います。
すくなとも、一日一回、寝る前には必ず磨いて下さい。
(寝ている間は虫歯になりやすいのです)
●仕上げ磨きは、6歳臼歯が揃うまで行ってください。(7才前後)その後は、徐々に自分でできるよう、仕上げをする量を減らし、チェックを中心にしましょう。キレイにできている部分は褒めて、磨き足りないところを補いながら、お子さんが自信をもって歯みがきできるよう工夫してください。また、予防のためにも、定期的にご来院くださると、お口の健康がより守りやすくなります。
●歯みがき粉を使い始める時期は、ぶくぶくうがいができるようになる3才を目安にしてください。
●予防歯科ページもご参照ください。(予防歯科のページへ) - 乳歯から永久歯への生えかわり
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乳歯から永久歯への生えかわりは、6才前後に下あごの前歯から始まるのが普通です。しかし、年齢には個人差も大きいので、遅くてもあまり神経質になる必要はありません。しかし、乳歯が抜けてかなり経つのに永久歯が生えてこなかったり、左右の生えかわりの時期がかなり違うときは、何らかの原因があることも考えられますので、一度検診しましょう。
生えかわりは、通常は自然に進んでいきますが、永久歯の場所がずれていると、乳歯が自分では抜けなかったり、永久歯が横から生えてきたりしてしまいます。歯並びを悪くしてしまう場合もありますので、乳歯を抜いてあげた方が良いかどうか、専門的に判断する必要があります。また、虫歯や何らかの原因で乳歯が早い時期に失われてしまうと、歯並びや咬み合わせが崩れてしまうことがあります。その場合は、装置によって歯がずれないようにする必要があります。もちろん、虫歯予防が第一なのは言うまでもありません。 - 歯並びや咬み合わせに影響する「くせ」
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歯並びや咬み合わせの異常には、大きく分けると二つの要因があります。それは、「遺伝によるもの」と「環境によるもの」です。後者のなかのうち、さまざまな「くせ・習慣」について、小さな頃から注意したいものがあります。
- 1. 口でくわえる癖(指しゃぶり、爪かみ、唇を咬む、タオルや鉛筆を咬む、長期のおしゃぶり、など)
- 2. 舌による癖(舌を出す癖、舌を咬む癖、など)
- 3. 口呼吸
- 4. 頬杖をつく
- 5. 睡眠時の姿勢
- 歯並びや咬み合わせはいつ治す?
- 子どもの時期は、歯の生えかわりやあごの成長によってお口の状態が刻々と変化します。ですから、出来るだけ本人の負担を少なくし、最小限の治療で効率よく治療結果を導きだすには、適切な時期を見極める必要があります。目の前の問題だけにとらわれず、将来の予測を立てて治療することが必要なのです。(詳細は、矯正歯科のページをご参照ください。)
- 永久歯がいつまでも生えてこない!
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永久歯が生えてこない原因は、「永久歯の本数が足りない(先天性欠如)」「歯が曲がって埋まっている」「歯が生えるのに妨げになるものがある」などが考えられ、その原因によってとるべき対応が違ってきます。そのままの状態にしておくと、普通に生えている健全な歯へ悪影響を及ぼすこともあり、それが骨や歯茎の中で起こっていると、発見できずに進行してしまいます。早い段階で処置すると予後が良好になることが多いので、できるだけ早めにご相談ください。しかし、なかなか気づきにくい場合もありますので、定期的な検診で早期に発見するのがベストです。
先天性欠如とは逆に、過剰歯といって、余計な歯が存在することもあります。これも上記同様、全体に悪影響を及ぼすことがあります。発見された場合は、専門的に対応を判断いたします。 - お子様のお口を一生大切に守るために…
- 刻々と変化するお子様のお口を健全に育てるために、周囲の人たちができることはたくさんあります。また、お口の健康は全身の健全な成長発育にもつながります。20歳までに、きれいな歯、歯茎、歯並び・咬み合わせを整えておくことは、その後の人生において、お口の困りごとを減らす下地づくりと捉えることもできましょう。将来自立していくお子様へ、健康的なお口をプレゼントすることは、とても素敵なことだと思いませんか?